この記事では、年齢を重ねてからの体外受精の気を付けるべきポイントや費用について解説します。
卵子の質と数の低下という厳しい現実を踏まえつつ、不妊治療における流産率などの客観的なデータをお伝えします。
正しい知識を得ることで、後悔のない選択ができるようになります。体に優しい治療法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の監修者
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湯 暁暉
秋葉原ART Clinic 院長
■略歴
中国の医科大学卒業。
2002年医学博士(東京大学医学系研究科)
2004年日本の医師免許取得
東京大医学部附属病院、愛育病院、山王病院、加藤レディスクリニック等勤務
2017年 秋葉原ART Clinicを開設
■専門・資格
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本生殖医学会 生殖医療専門医
日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医
日本受精着床学会
日本卵子学会
年齢を重ねた際の体外受精で気を付けるべき点と留意点

現在妊娠を望んでいるのですが、なかなか妊娠ができず体外受精に踏み切るか悩んでいます。年齢を重ねてからの体外受精は不安で……。やはりリスクはあるのでしょうか。

年齢とともに妊娠率は徐々に低下し、流産率は上昇する傾向があります。 こうした背景を踏まえたうえで、治療方針によって取り組み方は大きく変わります。実際の確率について詳しく見ていきましょう。
年齢を重ねたときの体外受精におけるおよその妊娠率
40代に入ると、生殖補助医療(ART)による妊娠率は大きく変化します。
日本産科婦人科学会のデータによると、30代後半から低下し始めた妊娠率は、40歳以降さらに下がる傾向があります。
40歳ではおよそ20〜30%程度とされていますが、45歳では数%まで低下することが示されています。
このようなデータを踏まえつつ、治療はご自身の状況に合わせて選択していくことが重要です。
客観的な数値をもとに適切な方針を立てるためにも、早めに専門医へ相談し、現状を正確に把握しておきましょう。
年齢とともに低下する卵子の質と数
女性の卵子は出生時が最も多く、年齢とともに減少していきます。
また、数だけでなく質にも変化が見られるため、受精や着床に影響する場合があります。
40代の不妊治療では、この点を踏まえた対応が求められます。
その中で、採卵方法や治療方針の選択によってアプローチが変わることもあります。
数だけでなく質にも目を向けていくことが大切です。
現在の状態を正しく把握するためにも、早期に医療機関を受診し、必要な検査を受けておきましょう。
高齢出産に伴うダウン症や流産リスクへの備え
例えば40代で妊娠した場合、加齢に伴い染色体異常のリスクが高まることが知られています。
染色体異常はダウン症候群の一因となるほか、流産の割合にも影響します。
40代前半では流産率が30〜40%程度とされており、事前の理解が重要です。
こうしたリスクへの備えとして、着床前遺伝子検査(PGT-A)の活用を検討する方法もあります。
医師と相談しながら、自分に合った選択肢を考えていきましょう。
体外受精にかかる費用相場と保険適用の条件

体外受精は保険適用になりますか?

治療開始時に43歳未満であれば、一定回数まで保険適用が可能です。不妊治療は費用面の負担も大きいため、あらかじめ制度や条件を確認しておくことが大切です。
不妊治療の保険適用は43歳未満が対象
2022年から保険適用が拡大されましたが、治療開始時に43歳未満であることが条件です。
また、40歳以上43歳未満は1子につき3回までと回数制限があります。
なお、保険適用となる不妊治療の費用は、自己負担3割で タイミング法は数千円〜1万円程度、人工授精は5,000円〜2万円程度、 外受精では1回あたり10万円〜20万円程度が目安とされています(※治療内容や薬剤の使用量によって変動します)。
こうした条件を踏まえると、治療のタイミングを見極めることが重要です。
迷っている場合は、早めに専門医へ相談しましょう。
自由診療への切り替えと利用できる助成金
43歳以降や回数制限を超えた場合は自由診療となり、1回あたり30万円〜60万円程度が目安とされています。
一方で、自由診療では個々に合わせた柔軟な治療が可能です。
また、費用負担を軽減する制度として、自治体によっては助成制度が用意されている場合があります。さらに、保険適用の場合は高額療養費制度の対象となることがあり、一定額を超えた医療費が払い戻されるケースもあります。
加えて、年間の医療費が一定額を超えた場合には医療費控除の対象となり、所得税の負担軽減につながる可能性があります。
これらの制度も踏まえて、費用面を含めて事前に確認しておくと安心です。
43歳以降や回数制限を超えた場合は自由診療となり、1回あたり30万円〜60万円程度が目安とされています。
一方で、自由診療では個々に合わせた柔軟な治療が可能です。
また、自治体によっては助成制度が用意されている場合もあります。
費用面を含めて事前に確認しておくと安心です。
最短で妊娠するための生殖補助医療の流れとステップアップ

では現在不妊治療を受けているなら、すぐに体外受精へ進むべきですか?

年齢によっては時間的な制約を考慮し、早めのステップアップが重要とされています。タイミング法や人工授精を長く続けるよりも、適切な段階で次の治療へ進むことがポイントになります。
タイミング法や人工授精からの早期移行
治療を受ける年齢によっては、治療にかけられる時間が限られています。
一定期間試して結果が出ない場合は、体外受精への切り替えを検討することが大切です。
医療機関では個々の状態をもとに、適切なタイミングでの移行を提案してくれます。
自己判断だけでなく、専門的な視点を取り入れることが重要です。
AMH検査で妊娠に残された時間を把握
AMH検査では、卵巣に残っている卵子の目安を把握できます。
値によっては、より早い段階での治療選択が重要となる場合もあります。
ただし、数値はあくまで目安であり、可能性を完全に示すものではありません。総合的に判断することが大切です。
着床前遺伝子検査などの先進技術の活用
PGT-Aは、胚の段階で染色体の状態を調べる検査で、着床率向上や流産率低下が期待されています。
治療の選択肢として、医師と相談のうえ検討することができます。
40代で妊娠確率を少しでも上げる3つのポイント

今からでも妊娠の可能性を高めるにはどうすればいいですか?

早期受診、無理のない通院体制が重要です。
不妊治療を専門とする医師への早期相談
最も重要なのは、早期に専門医へ相談することです。
客観的な診断をもとに、個々に合った治療計画を立てることができます。
インターネット上の情報や自己流の妊活に頼るのではなく、専門家の客観的な診断を受けることが成功への近道となります。
専門医は、ホルモン値や超音波検査の結果をもとに、患者一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を提案してくれます。
悩んでいる時間が長くなるほど、妊娠のチャンスは減ってしまうものです。
少しでも不安を感じたら、まずはカウンセリングだけでも受診してみることを強くおすすめします。
仕事と両立しながら通院を続ける工夫
働きながら不妊治療への挑戦を考えている女性にとって、仕事と通院の両立は大きな課題です。
頻繁な通院が必要になる体外受精では、スケジュールの調整に苦労する方が少なくありません。
しかし、夜間や休日の診療に対応しているクリニックを選ぶことで、仕事を休む頻度を減らすことができます。
また、自然周期や低刺激の治療方法は、毎日注射に通う必要がないケースも多く、仕事を持つ40代の患者にとって大きなメリットとなります。
職場の理解を得ることも大切ですが、まずは通院の負担が少ない治療方針を医師と相談することが重要です。
無理なく続けられる環境を整えることで、心に余裕を持って治療に臨むことができます。
ストレスを溜め込まず、ご自身のライフスタイルに合わせた治療計画を立てていきましょう。
まとめ:体外受精への踏切りは時間とのバランスが重要

詳しい解説をありがとうございました! 最後に、年齢を重ねたタイミングでも体外受精で最も大切なことは何ですか?

時間を意識しながら、専門医と相談して適切に行動することです。 この記事では、年齢を重ねた際の体外受精に関する確率や費用、制度について解説しました。 年齢に伴う変化はありますが、治療の選択や進め方によって可能性の広げ方は変わります。 その中でも、自然周期や低刺激の治療など体への負担に配慮した選択肢を含め、自分に合った方法を見つけることが重要です。 まずは医療機関を受診し、納得できる選択をしていきましょう。
(監修・執筆:湯 暁暉)
