この症状って胃腸炎? 症状を和らげる方法と感染しないための”3つの予防対策”【医師監修】

2024/01/09 17:13公開

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冬の時期は、感染性胃腸炎が流行します。下痢と嘔吐などつらい症状がでますが、胃腸炎になってしまった場合、どのような対処をすればよいのでしょうか。症状を和らげる方法や感染しないための予防対策について医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センターの中路幸之助先生に教えていただきました。


■そもそも胃腸炎とは? 一番多い感染経路は?


――そもそも胃腸炎とは? 発症しやすい時期などを教えてください。


中路先生:急性胃腸炎とは、細菌やウイルスの感染によって短期間に胃腸の粘膜に炎症が起きる病態です。ピロリ菌などによる慢性胃炎と区別されます。急性胃腸炎の潜伏期間は1~2日で、感染力が強く、秋~冬場に流行する傾向があります。感染性胃腸炎の大部分は、ウイルス性胃腸炎です。病原体としては主にノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスが最も多いとされています。ノロウイルスは、下痢、おう吐以外にも発熱する場合もあり、脱水症状をきたすことがあります。

潜伏期間は、数時間から数日で乳幼児や高齢者などは容易に脱水となるため注意が必要です。ロタウイルスは乳幼児で多く発症し、1月~4月に多いとされています。成人では、不顕性感染が多いとされています。症状は、いわゆる米のとぎ汁のような白色の水様便が特徴的です。ノロウイルスに比べて、発熱を伴う場合が多く、さらに脱水症状に気をつける必要があります。潜伏期間は、約2日とされ、下痢、嘔吐などの症状は、数日から1週間前後で改善回復します。アデノウィルスは下痢や腹痛が主な症状です。下痢は比較的長期に続きますが他のウイルスに比べて脱水症状は少ないとされます。アデノウイルスは季節を問わずに発症が見られます。また、細菌性腸炎の原因としては、カンピロバクター菌、病原性大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、コレラ菌などが挙げられます。


――感染経路で一番多いのはどこからになるのでしょうか?


感染経路には飛沫感染と接触感染あります。飛沫感染は胃腸炎にかかった人の吐物や便が空間をまって、口から侵入するう経路、接触感染には、胃腸炎にかかった人の吐物や便に直接触れた手で食物を食べたりして感染します。


■つらい胃腸炎……症状を和らげるには?


――もしも感染してしまった場合、症状を和らげる方法を教えてください。また、一般的にどのくらいで回復するのでしょうか。


ポカリスエットなどの電解質を含んだ飲料を飲むなどして、脱水にならないようにしましょう。また辛いのなどの刺激物を避け、消化のよいものを食べましょう。 また、基本的には3日ほどで回復します。3日以上しても回復しない場合は他の疾患の可能性があり、注意が必要です。


■感染しないための予防対策


手洗い・消毒を励行する

帰宅した時、トイレ後、感染者のお世話をした後や調理した卵・魚・肉に触れた後は、手洗い・消毒を励行しましょう。 ノロウイルスなどのアルコールに耐性のある病原体に家族が感染した場合には、塩素系漂白剤を希釈した液体でのドアノブ・便器を消毒しましょう。


食品の加熱、包丁・まな板の処理

食品を中心部までしっかりと加熱しましょう。加熱が不十分だと、病原体が残ってしまいます。 生肉や魚を切ったあとの包丁・まな板の殺菌が必要です。80℃以上の熱湯での5分以上の浸け置きがよいでしょう。それが難しい場合はアルコール消毒も有用です。


吐物・便の片付け

感染者の吐物や糞便を片付ける際は、手袋・マスク・エプロンを着用しましょう。吐物、糞をペーパータオルで拭き取り、次亜塩素酸ナトリウムか塩素系漂白剤で消毒します。使用した手袋・マスク・エプロンはウイルスが飛び散らないように、袋などに入れて口をしっかり縛り、密封してください。また、片付けの際には部屋の喚起を十分にすることも大切です。



監修ドクター:中路 幸之助先生

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター/米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医/日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医


※この記事は、マイナビニュースに2023年02月20日に掲載されたものを転載しております。
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