2025年には29万人が必要とするとされる在宅医療。自宅で医療を受けるのが当たり前、最後は自宅で、と考える人も増えてきています。しかし、実際にはどのような人柄の医師が自宅で診てくれるのか、気になる方も多いのでは?
今回は、東京北東部(北区・荒川区・足立区・台東区・板橋区・豊島区・文京区)の在宅医療・訪問診療を担う「ファミリークリニック荒川」の院長、廣田智也先生にお話を伺いました。整形外科医として多くの診療をしてきた廣田先生が、訪問診療に情熱を燃やすことになった理由は、「疾患」ではなく「患者」を診たいという思いがありました。
お話を聞いたのは
物腰柔らかで笑顔の素敵な廣田智也先生(ファミリークリニック荒川 院長)
――本日はお時間をいただきありがとうございます。早速お話を伺わせていただきたいと思いますが・・・先生、お会いして早々不躾(ぶしつけ)なのですが、すごく笑顔が素敵ですね!

そうですか!ありがとうございます(笑)
――普段から笑顔を大切にされているんですか?
そうですね。医者という職業は、なんとなく話しかけにくい、などの“謎の先入観”があると自覚しています。ただでさえ警戒されている印象があるのに、そこで友好的じゃない対応をとると余計なフィルターを増やしてしまうと思うんです。ですから、笑顔はもちろん、相手の目をしっかり見て、意識的に腰を低くする必要があると思っています。
――確かに、笑顔で腰が低い先生だと、自分のことを話しやすいです!
ありがとうございます(笑)
ファミリークリニック荒川はアットホームでフッ軽なチーム!
――先生以外のスタッフの皆さんにもこうした「笑顔を大切に」といった考えは伝えているんですか?

はい、そこはしっかりと皆で共有していますね。私たちの仕事は、電話を受けるところから診療がスタートしていると思っています。どんな内容でもしっかりと話を聞いて、親身に寄り添うことを心がけています。
理念として掲げるのは、「目の前の患者を助けるつもりでフットワーク軽く」ということです。依頼をいただいた際に、患者を診ることができないというのは簡単ですが、私たちは、「診れない理由を探すのではなくて、診れる理由を探す」ことを大事にしています。
――電話受け付けの時からそこまでの気持ちで接していただけるのは安心感があります。ちなみにスタッフの皆さんとの雰囲気はいかがですか?

私たちのクリニックには、医師の他に、看護師、ドライバー、内勤事務といったさまざまなスタッフが在籍しています。みなさん、人当たりがすごく良くて、相談しやすいタイプだと思いますよ。
手が空いている時には、みんなでよくワイワイたわいない会話をしていますね。ランチのお蕎麦屋さんはどこが美味しいとか、商店街のお店が美味しかったとか。懇親会や定期的に飲み会もやっています。
――こうした職場の雰囲気の良さが、患者さんに対する笑顔や物腰の柔かな対応にもつながってくるんですね!
廣田先生が医師になったきっかけは中学生の時の胃腸炎入院!
――先生はどうして医師になられたんですか?

学生の頃は、将来の職業について、何になろうかなと悩んでいたんです。獣医とか歯医者とか、迷っていましたね。
医者になろうと思ったのは中学生の時に胃腸炎で入院したことがきっかけでした。当時は不安な気持ちでいっぱいだった私でしたが、担当した医者がよく話を聞いてくれ、的確な治療方針を示してくれたことで、安心して治療に臨むことができたことを覚えています。
治療方針の説明以外にも、「絶対治るよ」とか励ましてくれたことも気持ちの助けになりました。この医師も笑顔が素敵な先生でしたね。
――なるほど。医師に助けられた経験から、自らも人を救う医師になったのですね。整形外科を選ばれた理由は?
さまざまな診療科の研修を受ける中で、整形外科は元気になって帰る患者が多かったという印象からでしたね。患者が笑顔で帰る印象が多くて、やりがいがあるなと思い整形外科の道に進みました。
訪問診療は「疾患」ではなく「人」に向き合う診療です
――先生は整形外科を専門にした後、現在の訪問診療の道に進みます。こうしたキャリアには何かきっかけがあったんでしょうか?

現在のクリニックには、元々非常勤で誘われたことがきっかけで関わりました。最初は訪問診療についてわかっていないことも多く、週に1回の勤務体制で始めたんです。この時に大きな気づきを得たと思います。
――“気づき”ですか?
外来は患者が歩いて病院やクリニックまで来ることができるという前提があるので、「人」として向き合うというよりは「疾患」として向き合う傾向があると思います。しかし訪問診療は、病院に来ることができない患者のもとに医師が伺う形です。そうなると家族関係、家庭環境を見て、その「人」に合った治療法を提案することになります。「疾患」に対しては素晴らしい治療法でも家庭環境によっては十分な運用を行うことができず、結果として期待されていた成果をあげられないこともあります。
患者やご家族といった「人」にフィットした治療法が訪問診療にはとても大事だと思っています。その視点で医療に向き合えるのが興味深く、自分に合っているのではと思ったんです。
――より患者個人を深掘りして治療をしたいという思いが先生にあったんですね。
廣田先生は内科・整形外科の両方に対応できる訪問診療医!
――整形外科専門医としての強みは活かせていますか?

そうですね、活かせていると思います。整形外科医で訪問診療している人はまだ少ないイメージですから、地域に貢献できている自信はありますね。
訪問診療では、診察に加えて血圧測定、採血、超音波検査、心電図検査などの検査もやっています。一番多いのが認知症を併発している方が多いため、認知症の治療を含めた内科疾患をお薬でフォローしていくことです。
それに加えて、うちのクリニックでは私が整形外科専門医なので、腰痛などにも同時に対応しています。内科・整形外科の両方に対応することがうちの強みの一つですね。
これまでの訪問診療だと、「腰が痛い = 病院受診」みたいな流れがありました。でもそれっておかしいですよね。そもそも通院が難しくて訪問診療を利用していたのに、腰痛で通院させるというのはどうなのか、とケアマネージャーさんが悩んでいたんです。私がこの地域に来たことで、こうしたケアマネさんからご相談を受けることも増えています。
――これまでのキャリアが大きく生きているんですね!
受診を検討している方・ご家族へのメッセージ
――最後に受診を検討している患者さんやご家族へのメッセージをお願いします。

今の世の中は情報が溢れているので、選択することが難しい時代です。何かお困りごとがありましたら、小さいことでもいいので、まず電話をいただけたらと思います。お電話をいただければ、提案できることが何かしらあると思っています。
お困りごとの内容が訪問診療にマッチすれば私たちの診療をご提案させていただきますし、他の病院の方が良ければ正直にお伝えしたいと思っています。ぜひお気軽に相談してくださいね!
――廣田先生のインタビューで特に強く印象に残ったのは、先生の話し方がとてもお上手だということです。穏やかにお話しされるのですが、内容がしっかりと聞き手の頭の中に入って来ました。普段から患者さんにわかりやすい説明に心を砕いているからこその技術だと思います。撮影の待ち時間の雑談にも気さくに応じていただき、お人柄の良さも知ることができました。クリニックの他の先生、スタッフの皆様の様子からも廣田先生への信頼を感じることができました。1チームとして地域医療に取り組むこと熱意を感じました。
(取材:メディコレ編集部)