目はものを見るための大切な器官ですが、よくある目の病気には命にかかわるイメージがないことなどから、検診で異常を指摘されても、眼科の受診が後回しになってしまいがちな人は多いのではないでしょうか。 しかし、人間ドックや健康診断で見つかる深刻な目の病気は少なくありません。そのひとつが緑内障で、40歳以上の日本人の約5%が罹患するとされ、視野が狭くなって、放置すれば失明のおそれもある病気です。
こうした病気を早く見つけるために必要なのが、眼科検診です。今回は、みわ・ながた眼科医院の永田裕治院長に、眼科検診の重要性や注意点などを教えていただきました。
お話を聞いたのは
検診や人間ドックで多く見つかるのは緑内障

—―本日は眼科検診についてお話をお伺いしたいと思います。健康診断や人間ドックの眼科項目で引っかかってしまっても、自覚症状がないと、つい受診が後回しになってしまいがちな人も多いかと思いますが、放置していても大丈夫でしょうか。
放置して問題ない場合もありえますが、それはあくまで結果的に大丈夫だったというだけですので、やはり一度眼科を受診してほしいと思います。また、毎年同じ項目で引っかかっていて、眼科でも問題ないといわれていても、新しい病気が潜んでいる可能性はゼロではありませんから、きちんと受診することをおすすめします。問題がなければないで安心できる、というくらいの考え方でもいいと思います。
――健康診断で引っかかるのはどのような場合が多いのでしょうか。
「緑内障の疑いあり」といわれる場合が多いと思います。先ほどお話したように、毎年「緑内障の疑いあり」といわれながら、検査すると問題なかったという人もいますが、いつかは本当に緑内障になってしまうかもしれません。ですから、油断せずに年に1度は検診を受けたほうがよいでしょう。
――緑内障を調べる場合、眼科ではどのような検査をするのか教えてください。
眼圧検査、眼底検査、視野検査のほか、最近はOCT検査を行うところも多いようです。OCTとは網膜の断面図を撮影する検査です。それを使って神経の厚みわかるのですが光の性質を利用するため、患者さんの負担はほとんどありません。OCT検査は緑内障のほか、さまざまな病気についても調べることが可能です。
健康診断の視力検査・眼圧検査・眼底検査からわかること

――視力が低下していた場合、何か注意点はありますか。
視力低下に関しては、あまり気にしなくてもよいかもしれません。というのも、視力検査では「最高矯正視力」といって、ベストな矯正の状態で視力がどのくらいなのかを測定しないとあまり意味がないんです。人間ドックや健康診断では人手や時間の関係もあって、そこまで検査できていないのが現状です。
――確かに眼科で視力を測るときには、専用のメガネにレンズを入れ替えしながら測定しますね。
(裸眼)視力が下がっただけでしたら、何かの病気である可能性はあまり高くないといえるでしょう。ただし、視野がゆがんだりする場合は、どこかおかしいところがあると考えてください。
――眼圧に異常があった場合はどうでしょうか。どのような病気が考えられますか。
眼圧が高いと、緑内障の可能性が考えられます。もっとも、検診で使われる空気式の眼圧計は、直接目に触れないので医師免許がない人でも使える検査機器ですが、あまり正確ではありません。したがって検診で眼圧に異常があったからといってすぐに緑内障だというわけではないのですが、可能性は否定できないため、眼科で診てもらうことをおすすめします。眼科では、目に直接先が平らになっているチップを当てて圧力を測る圧平式眼圧計で、正確な眼圧を測定することができます。
また、健康診断でも眼圧が非常に高かった場合は、早めに受診するように指示があると思います。
――眼底検査で異常が認められるのはどのような病気でしょうか。
眼底検査は目の奥の網膜を撮影する検査です。異常が認められる場合は緑内障が多いですが、それ以外にも網膜の出血や血管が詰まる病気、網膜剝離などさまざまな病気の可能性があります。
――では、水晶体などが濁る「中間透光体混濁」で要受診という検査結果が出た場合は、どのような病気の可能性がありますか。
透光体が濁る病気で多いのは、水晶体が濁る白内障です。しかし人間ドックや健康診断で一般的に行われるのは視力検査、眼底検査、眼圧検査の3つで、水晶体の濁りを見る検査は含まれておらず、中間透光体が濁っているかどうかの正しい診断はあまり期待できません。やはり人間ドックや健康診断で見つかりやすいのは、緑内障だといえますね。
とはいえ白内障を反映していることもないわけではありませんので、視界がかすんだり、光をまぶしく感じたりする場合は白内障の初期症状を疑って、眼科を受診してほしいと思います。
症状や違和感を感じたら早めの受診を

――眼科の検診はどのくらいの頻度で受けるとよいでしょうか。
医学的以外の理由もあるでしょうけれど、実情と同じ年に1度のペースで受けるとよいのではないかと思います。そのくらいのペースで受けていただければ、もし病気になっていたとしても進行する前に見つけられることが多いでしょう。とはいえ、何らかの症状がある場合は1年を待たずに受診してください。
――永田先生ご自身のことや、先生が院長を務められる「みわ・ながた眼科医院」についてもお伺いできればと思います。先生のご専門分野や、診察で心がけていることを教えてください。
いまは広く一般眼科を診ていますが、もともとは網膜の分野が専門です。総合病院で網膜剥離や糖尿病の網膜症などの手術を数多く行ってきましたので、網膜に関しては他の人より 知っていると思います。
毎日の診察では、一人ひとりの患者さんに対してしっかり話を聞くようにしています。
—―みわ・ながた眼科医院の特徴を教えてください。
スタッフの皆さんが優しく親切なところですね。つねに患者さんの要望に応えられるよう努力してくれています。
—―では最後に、来院を検討している読者の皆さんにメッセージをお願いします。

人間ドックや健康診断は大切ですが、当然のことながらすべての病気がわかるわけではありません。眼科の検査項目でもわかる病気とわからない病気があります。人間ドックや健康診断で問題がなかったからといって安心せずに、少しでも症状があったり、なんとなく違和感を感じたら、早めに眼科を受診してください。
—―眼科検診について、穏やかにわかりやすくお話しされた永田先生。物静かな雰囲気の中にも、「患者さんの話は長くなっても聞いてしまう」という熱意ややさしさが感じられました。
(取材:メディコレ編集部)
提供:クーパービジョン・ジャパン株式会社
