多くの方が使用しているコンタクトレンズ。しかし、装用時間や使用方法、購入方法によっては、思わぬトラブルを招くことも。
コンタクトレンズは、2005年に人工呼吸器、人工透析器と同レベルの「高度管理医療機器」に認定されており、正しい管理が不可欠な医療機器です。今回は、石川県で地域に根ざした診療を続けていらっしゃる「望月眼科医院」の望月先生に、コンタクトレンズとの正しい付き合い方についてお伺いしました。
お話を聞いたのは
トラブルを防ぐ第一歩は、正しい知識を持つことから

――お忙しい中、お時間いただきありがとうございます。本日は「コンタクトレンズの管理方法」をテーマに、多くの方が抱える悩みについて、先生にアドバイスをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
――最近コンタクトレンズを変えたのですが、目が充血してしまいます。原因として何が考えられますか?
まず、「レンズを変えたこと」そのものが原因とは限りません。実際には、使い方も大きく関係してきます。例えば、ワンデーからツーウィークへと装用期間を変更した場合、あるいは無色透明のコンタクトレンズからカラーコンタクトレンズへ変更した場合など、変更の内容によって眼への負担も異なってきます。
最近は朝から夜までつけっぱなしの方や、そのまま寝てしまう方も増えていますが、私の経験では、このような使い方が充血の原因になっているケースが多いと感じています。
また、ネットで購入して自己流で使用している方と、眼科で度数やフィッティングを確認したうえで使っている方では、リスクにも大きな差が出ます。
――単にレンズを変えたからというだけでなく、使い方や購入ルートも含めて見直す必要があるということですか?

はい。フィッティングが合っていてレンズの動きが良ければ、正しく使う限りトラブルは起きにくいものです。ケア用品を変えた場合も、使用法が適切でないとトラブルの要因になります。
また、目の形状やまぶたの張り具合、アレルギーなど個人の体質によっても、レンズとの相性が変わってきます。例えば、まぶたの裏にアレルギー反応(巨大乳頭結膜炎)が起きると、レンズが上へ持ち上がり異物感や充血の原因になります。
コンタクトレンズ、どこで買う?後悔しない選び方のポイント。
――コンタクトレンズの正しい選び方について、先生のお考えを教えてください。
ご自分の使う時間帯や目的にあったレンズを、眼科医に相談して選ぶことが大切です。私はトラブルの少なさから「ワンデータイプ」を最も推奨しています。衛生面でも安心ですし、ケアの手間もかかりません。
――コンタクトレンズは、どこで購入するのが安心でしょうか?
当院のように、コンタクトレンズ診療に力を入れている眼科を受診されるのが安心だと思います。最近では、大手量販店にも眼科専門医が常駐しているケースがありますので、そういった場所で相談されるのも良いでしょう。
一方でネット購入は手軽ですが、個人的には流通経路などを含め安全性に不安があると感じているため、当院では、患者さんにはネット購入をあまり推奨していません。
2019年に発行された消費者庁・厚生労働省文書でも、インターネット及び通信販売で購入した方に眼障害が多いことが指摘されています。 角膜感染など、重篤な症状を起こすことも報告されているため、私たち医療従事者が正しい情報を伝えていくことが重要だと考えています。
――コンタクトレンズに力を入れている眼科かどうかは、どのように見分ければよいですか?
クリニックのホームページなどで確認できますし、電話で直接問い合わせてもよいでしょう。また、信頼できる医療情報源として、日本コンタクトレンズ学会のサイトもご活用ください。コンタクト診療に力を入れている会員が確認できる名簿があります。
安心して使い続けるために、定期健診を。

――コンタクトレンズの正しい使い方や管理方法を教えてください。
まず大切なのは、購入時に付属している「添付文書」をよく読むこと。そこに記載された使用方法を守っていれば、基本的にトラブルは防げます。また、ぜひ定期検査を受けてください。当院では、1年以上検査を受けていない場合は、同じレンズの再処方は行わないようにしています。
石川県では正しい使い方や注意点などをまとめた「コンタクトレンズ管理手帳」を作成し、配布しています。啓発活動の一環として、当院から発信し多くの患者さんに活用していただいています。
――やはり定期的な検査は欠かせませんね。
目の状態は変化しますので、定期的なチェックは必須です。ご存じない方が多いのですが、コンタクトレンズは「高度管理医療機器」に分類され、人工呼吸器や人工透析器と同じレベルの管理が求められる製品です。間違った使い方は、視力障害や失明など重大なトラブルに発展しかねません。
――管理方法が悪いと具体的にどんなリスクがあるのでしょうか?
例えば、誤った使い方で角膜移植が必要になったケースや、視力が回復しないほど傷ついた例もあります。特に注意が必要なのは感染症で、「緑膿菌」、「アカントアメーバ」などの病原菌が角膜に感染すると、非常に重篤な症状になります。
最近はスマホやパソコン作業を長時間される方が多く、ドライアイが進行し傷ができたりするケースもありますので注意しましょう。
――コンタクトレンズの度数が合っていないと、どんなリスクがありますか?
視力低下が進行します。特に近視の方は、合っていないレンズを使い続けると、どんどん視力が悪化していきます。また頭痛やめまい、眼精疲労といった症状が出ることもありますので、違和感があれば、我慢せず眼科で再検査を受けることをおすすめします。
何よりも大切なのは患者さんとのコミュニケーション
――先生が診療時に心掛けていらっしゃることや望月眼科医院の強みを教えてください。

私が大切にしているのは、患者さんとのコミュニケーションです。診察に時間がかかっても、一人ひとりとしっかりお話し、わかりやすく説明し、納得していただくことを心がけています。スタッフから「先生、まだ待っていらっしゃる患者さんが沢山いるので早めに」と声をかけられることもありますが(笑)。対話がいちばん大切ですので、おろそかにすることは決してありません。
患者さんの顔を見ながら話せるようにするため、当院ではあえて紙カルテを使っています。またホームページもスタッフと一緒に手づくりしており、患者さんにとって必要な情報は何かをスタッフみんなで考えながら、更新しています。
――先生の専門分野や、特に力を入れている診療について教えてください。
当院ではコンタクトレンズ診療に加え、白内障手術も日帰りで行っています。最近では「三焦点眼内レンズ」のニーズも高まっており、より自然な見え方を実現する手術にも力を入れています。
――最後に、来院を検討されている方にメッセージをお願いします。

私たちは、患者さんとのコミュニケーションを何より大切にしています。
当院のホームページにはメールアドレスも掲載しており、ご質問やご意見があれば、いつでもご連絡いただけるようになっています。もちろん、苦情についても誠実に対応します。
望月眼科医院は1993年の開院以来、地元に密着した診療を続けてきました。
かつてお母さんに連れられて来院された3歳のお子さんが、今では親となり、ご自身のお子さんを連れて通ってくださるなど、二世代、三世代にわたって頼りにしていただくことが多いことは、私たちスタッフにとって大きな喜びです。
■まとめ(取材・編集後記)
望月眼科医院では「コンタクトレンズ管理手帳」を定期検査に活用しています。「適切にコンタクトレンズを使用してもらいたい」という望月先生の想いから生まれた、ユニークな取り組みです。コンタクトレンズを医療機器として正しく使ってもらうために、日々、患者さんと向き合い啓発活動を続ける温かい先生のまなざしが印象的でした。
(取材:メディコレ編集部)
提供:クーパービジョン・ジャパン株式会社