パソコンやスマートフォンの普及により世の中が便利になっている反面、以前と比べて目への負担は増えています。デスクワークが中心で、毎日長時間同じ姿勢でパソコンを使用している方も多いのではないでしょうか。 パソコンのモニターを長時間眺めていると、眼精疲労を引き起こす可能性が高くなります。眼精疲労は目の違和感だけでなく頭痛や肩こり、眼痛、ストレスなどにつながるため、仕事はもちろんのこと、私生活にも悪影響を及ぼします。
今回は、目に関するさまざまな診療を行っている新城眼科院長の星川徳行先生に、眼精疲労について伺いました。
お話を聞いたのは
目が長時間「調節」を行うことで疲れやすくなる

――本日はよろしくお願いいたします。まず最初に伺わせていただきたいのですが、仕事でパソコンを使っているせいか、夕方になると目が疲れてしまうのはなぜでしょうか?
目の疲れの原因として考えられる理由の1つが、パソコンの長時間使用です。また、正しい度数の眼鏡やコンタクトレンズを装用して画面を見ているのかどうかもポイントです。
老眼の方であれば、パソコン用の眼鏡をされている方もいることでしょう。その際に、度数が合っていないものを使用していると、特に目が疲れやすくなります。
――パソコンを長時間使用すると、なぜ目が疲れやすくなるのでしょうか?
パソコンの操作を通じて、目が「調節」と呼ばれる動作を長時間行うことになるからです。パソコンを使用する際は、目との距離が40~50センチほどと近くなります。
人間の目は近くのものを見る際に、調節という焦点を合わせ続ける作業を行います。その調節を長く行っていると、結果的に目が疲れてしまうのです。
また、パソコンの画面は見やすいように明るく設定されていることが多いのではないでしょうか。明るい光やブルーライトを長時間浴び続けると、眼精疲労を引き起こしやすくなります。
検査と診断結果に合わせた治療や対策が大事

――眼精疲労とは、そもそもどのような状態を指しますか?
目の疲れやかすみだけでなく、そこから肩が凝ったり、頭痛や目の痛み、人によっては少し吐き気の症状がでたりなど体の症状を伴ったり、それが慢性化した状態を眼精疲労と言います。
――眼精疲労になってしまったら、どのような対策をすればいいですか?
パソコンを使用する際は、30分に一回程度の休憩を挟みましょう。10分だけでもいいので、遠くを見る、目を閉じる、目の周囲を軽くマッサージする、などして目を休ませてください。あとはホットアイマスクや蒸しタオルを使用し、目を温めて血行を良くするような対策も有効です。画面の明るさも落としましょう。
眼科では、その方の原因を特定するために、詳しくお話を伺いながら眼科的な検査と診察を行います。視力をお調べして、近視や遠視、乱視の有無、斜視や斜位の有無、眼鏡やコンタクトレンズの度数、正しく使えているか、目の病気が隠れていないか、パソコンの使用時間なども確認します。その後、診断内容に合わせて治療を行います。
お調べした結果、度数が合っていない患者さまには、適切な眼鏡やコンタクトを処方しています。斜位の方だとプリム眼鏡が有効なこともあります。また、眼精疲労用の目薬も保険を適用できるものがありますので、それらを使用するのもおすすめです。
――眼精疲労をそのまま放置していると、将来的にどのようなリスクがありますか?
眼精疲労を放置することで、他の目の病気を引き起こすわけではありません。ただし、目が疲れてしまうと、メンタル面にも悪影響を及ぼす可能性が高まります。
例えば、モニターを見るのが嫌になってしまったり、仕事がはかどらなくなってしまったりするケースです。気分的にも抑うつの状態になり、ストレスやフラストレーションを感じやすいといった精神状態になることが考えられます。
眼精疲労は生活に悪影響を及ぼす

――仕事だけでなく、私生活にも影響を及ぼしそうですね。
はい、眼精疲労は体調やメンタルに影響し、生活に悪影響となります。
眼精疲労は言葉のとおり「疲労」とあるので、単に疲れているだけだと自分で判断してしまい、病気としての認識が薄い方も多いように感じます。なかには「単に疲れなのだから、わざわざ眼科行かなくてもいいよね」と、捉えている方もいるのではないでしょうか。
ですが、きちんと対応すれば状況は変わるので、違和感がある場合は眼科の受診をおすすめします。
――眼精疲労はどうやったら事前に予防できますか?
長時間の近業作業は避けること、パソコンなどのモニターは画面を少し暗くして、ブルーライトカットの眼鏡装用も有効です。ドライアイの方の場合は、その治療をすることで、眼精疲労を防ぐことにつながります。パソコンは画面から熱をだしていますし、まばたきの回数も減りますので、気がつかないうちにドライアイになっていることもあり、注意が必要ですね。
――「夕方老眼」とは、どのような状態を指すのでしょうか?
夕方老眼とは、社会人の方に多いのですが、朝から長時間目を酷使することで夕方になると目に疲れが溜まり、目のピントが合いづらくなったり、かすんだりする症状のことを指します。
――対策はどうしたら良いですか?
対策としては、パソコン等の長時間使用を避け、少し休憩を挟んだり、遠くを見る時間を増やしたり、目の周囲のマッサージや温めたりすることも大切です。正しい姿勢でパソコンをしていただき、時々ストレッチすることも有効です。
意識しているのは診察時に患者さまの訴えをよく聞くこと

――新城眼科の特徴を教えてください。
新城眼科は駅前にあるため、患者さまが通院しやすい場所にあります。また、土日含め1週間で休みなく診療を行っていますので、社会人や学生の方、お子さんからご年配の方までどなたでも通院しやすいのが特徴です。
ドクターは院長の私以外に、6名ほどの先生が定期的に診察を担当しています。経験豊富な先生方ばかりですし、患者さまは希望する先生の診察日を選んで受診することが可能です。
もちろん、ドクター同士も連携し、電子カルテを通じて全ての患者さまの検査結果や診療履歴をきちんと共有しています。

――星川先生の専門領域について教えてください。
開院前は一般眼科診療の他に、ドライアイや緑内障、小児眼科、レーザーが専門領域でした。ですが、開院後は地域のかかりつけ医のような立場になりました。そのため、特定の領域を専門とは決めておらず、幅広く病気を診られるよう対応しています。
――診察時に意識されていることはありますか?
診察時は、患者さまの訴えをよく聞くことを意識しています。患者さまは目に関するさまざまな悩みを抱えているため、眼科を受診されているはずです。そのため、患者さまが抱えている悩みを、診察時に吐き出してもらうことも大事だと考えています。
実際に診察を終えたあとで、患者さまから「話せただけでよかった」と、言っていただくこともありました。話すことで気分的に楽になるというお話だと思いますが、患者さまもたくさん話したあとで医師から説明を受けると、より納得しやすいのではと感じています。
――最後に来院を検討されている方に対してメッセージをお願いします。

目の症状について悩んでいる方は、一度眼科を受診していただきたいです。眼科だとイメージしずらいですが、ご自身の目に関することを、数値でお伝えしたり、画像で視覚化したり、分かりやすくお伝えいたします。
また、眼科の場合は患者さまご自身の判断が、結果として当たらないことが数多くあり、思いがけない病気が見つかることもあります。どのような悩みでも構いませんので、目について気になることがあれば、ぜひいらしていただきたいですね。
お悩みが一気に解決することもよくありますので。
――星川先生は、こちらの話にしっかりと耳を傾けたうえで、丁寧に回答いただいた印象が強く残っています。診察時も結果を伝えて終わりではなく、相手の話にしっかりと耳を傾けているからこそ、多くの患者さまから信頼を得られているのだと感じました。
(取材:メディコレ編集部)
提供:クーパービジョン・ジャパン株式会社
