目が乾く、ゴロゴロする――そんな「ドライアイ」は水分不足が原因だと思っていませんか? じつは、ドライアイの主な原因は油分の不足であることが少なくありません。そして、その油分を目の表面に広げ、うるおいを保つためにもっとも重要なのが「瞬き」です。
今回、白内障日帰り手術や緑内障、レーザー治療、コンタクトレンズ相談など、幅広い診療で地域の目を守る“かかりつけ医”として親しまれている「鳥取ノ荘駅前眼科」院長・洪成勲(こうなりいさ)先生にお話を伺いました。
お話を聞いたのは
「瞬き」がドライアイの防止につながる

――ドライアイと聞くと、「水分不足」と思いがちですが、実際のところはどうなのでしょうか?
もちろん、水分が不足している場合もありますが、実はそれだけではありません。目の表面を潤す涙には、水分だけでなく油分も含まれていて、多くのケースでは、この油分の不足がドライアイの大きな原因になっているんです。
この油分は、まぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌され、瞬きをするたびに目の表面に広がります。油分がしっかり行き渡っていれば、涙の蒸発を防ぎ、目の潤いを保てるのですが、瞬きが少なくなると分泌がうまくいかず、悪循環に陥ってしまいます。
――なるほど、ドライアイの原因は油分不足なのですね。では、油分が足りなくなる原因は何でしょうか?
一番の原因は瞬きの減少です。とくにコンタクトレンズを使っている人は要注意!
黒目の表面には痛覚があり、乾燥すると自然に瞬きや涙の分泌が促される仕組みになっています。ですが、コンタクトレンズを装着していると、この感覚がにぶってしまうんです。その結果、瞬きが減り、涙の油分が目の表面に行き渡らなくなってしまいます。
そのため、コンタクトレンズを利用している人はより瞬きすることを心がけてもらえると、ドライアイの対策につながるかと思います。
――ドライアイを防ぐために、私たちが日常生活でできる対策はありますか?
一番簡単な方法としては、意識的に「瞬きを増やすこと」です。瞬きをすることで、涙に含まれる水分や油分が目の表面にきちんと行き渡り、乾燥を防ぐことができます。前述でも申したように、コンタクトレンズを利用している人はより瞬きの必要性が高まります。
瞬きを増やすことができれば、自然に手っ取り早い対策になりますね。
もちろん目薬も効果的ですが、注意点もあります。市販の目薬の多くは「水分が多い目薬」です。一時的には潤いますが、目の表面の油分まで洗い流してしまうことがあります。まるで洗顔で皮脂を落としすぎるようなものですね。つまり、目薬のさしすぎが、逆にドライアイを悪化させるという事態を引き起こしてしまうことがあるのです。
あと、「目を温めること」も効果的です。マイボーム腺が分泌する油分は、冷えると固まりやすく、詰まりの原因になります。蒸しタオルなどで目元を温めることで油分が溶け出し、涙の質が改善されて、ドライアイの症状がやわらぐことも。年齢とともに油は溶けにくくなるため、とくに10代、20代の若い方の場合は効果が高いです。そうでないミドル、シニアの方も、目を温めることで緊張がほぐれ、新たな油分の塊を防ぐ効果は期待できます。
いろいろセルフケアの方法はありますが、まずは瞬きをすること。ドライアイの悪化を抑えるためにも、日常的なケアとして取り入れてみてください。
――重度のドライアイになると、どのような症状が出てくるのでしょうか?
コンタクトレンズを外したときに「ゴロゴロする」「異物感がある」といった症状がある場合は、注意が必要です。これは乾燥によって、黒目の表面に小さな傷ができているサインです。
コンタクトレンズをつけている間は痛覚がにぶっていて気づかなくても、外すと急に違和感として出てくるんですよ。目はとてもデリケートな器官ですので、気になる場合は、早めに眼科での診察を受けていただきたいですね。
「よく見える」が目を疲れさせる?スマホ時代のコンタクトレンズ選び

――コンタクトレンズが目の疲れやドライアイの原因になることもあるのでしょうか?
はい、その可能性は十分にあります。コンタクトレンズや眼鏡の多くは、遠く、つまり2〜3km先がよく見えるように度数が調整されています。でも、現代の生活ではスマホやパソコンなど近距離の画面を長時間見る場面がほとんど。すると、目はずっと近くにピントを合わせ続けなければならず、ピント調節に関わる筋肉(毛様体筋)が緊張状態になり、眼精疲労やドライアイにつながってしまいます。
――では、現代の生活に合ったコンタクトレンズの選び方や、気をつけるべき点はどんなことでしょうか?
まず大切なのは、「使用目的に合わせて使い分ける」ことです。たとえば、日中のデスクワークが多い方なら、パソコン作業の距離に合わせて、あえて少し度数を弱めたレンズを使い、車の運転時など遠くを見る必要がある場面では眼鏡で補う。逆に、長時間運転する職業の方など、遠方を見る必要がある場合は、遠くに焦点を合わせたコンタクトレンズを使い、手元を見る際には老眼鏡を併用するという方法もあります。こうした使い分けだけでも、目の疲労は大きく軽減されます。
今はネットで簡単に買える時代ですが、違和感がなくても自己判断で使い続けるのではなく、眼科で検査し、自分に合ったレンズを選んでもらいたいですね。
重度のドライアイ改善にはIPLが有効

――重度のドライアイには、どんな治療がありますか?
症状が進行している場合は、IPL(インテンス・パルス・ライト)治療という選択肢があります。これは特殊な光をまぶたに照射することで、マイボーム腺を刺激し、油分の分泌を促す治療です。固まってしまった油を溶かす効果もあり、目薬では対応しきれない重度のドライアイにも効果が期待できます。
IPLはまだ比較的新しい治療で、自費診療にはなりますが、実際に多くの患者さんが改善を実感しています。
患者一人ひとりに寄り添う、鳥取ノ荘駅前眼科の挑戦

――先生のクリニックでは、「丁寧な説明」に力を入れていると伺いました。
はい。「こんなに丁寧な説明は初めて」と言ってくださる患者さんも多くいらっしゃいます(笑)。ほかのクリニックに通われていた患者さんのなかには、目薬を出されても「なぜ使うのか」、治療の方法や目的を理解していない方がおられます。が、自分の目の状態を正しく理解してもらうことで、前向きに治療に取り組めるようになってほしいと考えています。
――先生が理想とする眼科医とは?
理想をいうと、深く広く。学会には極力足を運んで最新の知識を得るようにしています。この地域は人口があまり多くないぶん、患者さんも多くはありませんが、IPL(インテンス・パルス・ライト)など、新しい医療機器も導入しています。地域の住民のみなさんが、少しでも笑顔になってくれるように、日々努力したいと思っています。
――最後に、院長としての思いを教えてください。

患者さんとしっかり向き合い、一緒に治療方針を考える医療です。そして、「正しい知識を伝えること」が、何よりも大切だと考えています。
鳥取ノ荘駅前眼科は、大阪府阪南市・南海本線「鳥取ノ荘駅」から徒歩1分とアクセスも便利。院内はバリアフリーにしており、子どもからご高齢の方まで、幅広い世代の方々にご利用いただいています。
これからも、専門性とわかりやすさを両立させながら、地域のみなさんの「目のホームドクター」として、信頼される存在であり続けたいと思っています。
――「ドライアイ=水分不足」という思い込みが覆されるインタビューでしたね。洪先生の話には、油分不足という盲点や、それに伴う瞬きの重要性、コンタクトレンズによる影響など、多くの気づきがありました。目薬や生活習慣の見直しなど、今すぐできるケアがあることも心強く、何よりも患者さん一人ひとりに丁寧に向き合う姿勢が印象的でした。
(取材:メディコレ編集部)
提供:クーパービジョン・ジャパン株式会社
