在宅ワークや猛暑の影響により、室内でパソコンの前に座り、長時間同じ姿勢で過ごさなければならない方は増えていることでしょう。なかには、日中は気にならなかったものの、夕方になると目の疲れを感じる方もいるはずです。 同じ姿勢、同じ画面を見続けた場合に悪影響を及ぼすのは、目だけではありません。眼精疲労と呼ばれる症状を引き起こし、頭や肩などの部位にも痛みを生じる可能性があります。
今回は、30年以上の豊富な診療経験があり、地域医療に力を入れているつかもと眼科クリニック院長の塚本 佐知子先生に、眼精疲労について伺いました。
お話を聞いたのは
目の疲れの主な原因は毛様筋の緊張と角膜の乾き

――お時間をいただきありがとうございます。本日は眼精疲労についていろいろとお聞かせいただければと思います。
眼精疲労についてですね。こちらこそよろしくお願いいたします。
――仕事でパソコンを使っているせいか、夕方になると目が疲れてしまうのはなぜですか?
まず、パソコンを長時間使用していると、主に2つの理由で目が疲れやすくなります。1つ目は、パソコンの画面に集中して1点を見続けることです。過集中という状態に近いのですが、パソコンの画面からそらさずに長時間凝視することで、毛様筋と呼ばれる目の筋肉が緊張し続けてしまいます。要するに、重たいものを長い時間筋肉が支えているような状況になることで目に疲れがたまるのです。
2つ目は、瞬きが少なくなり、目を開きっぱなしの状態が続くことです。瞬きには、角膜の表面を潤す効果があります。しかし、目が開きっぱなしの状態が続くと角膜が乾いてしまい、目が「ゴロゴロする」「ショボショボする」などの症状が現れるのです。
――目の疲れといった症状が出た場合は、どうしたらいいですか?
まずは、適度な休憩をはさみ、目を休めることです。休憩時には、なるべく遠くを見るようにしましょう。
できれば外へ出て、遠くの景色を眺めるのが理想であり、その際は「20 20 20 ルール」をおすすめしています。20分画面を見たら、20フィート(約6メートル)先を20秒間眺めるというものです。
――遠くを眺めるといいのはなぜでしょうか?
遠くを眺めることで、毛様筋が自然と弛緩されるからです。毛様筋は、目の水晶体の厚みを調節してピントを合わせる筋肉のことです。この毛様筋が水晶体の厚みを変えることで、遠くから近くまで見たいところにピントを合わせられます。
近くを見る際は、毛様筋がレンズを調節しているため、筋肉の緊張した状態が長く続くことになります。そのため、毛様筋を休ませる必要があり、遠くを見ると自然とこの筋肉が弛緩する状態になるからです。
目以外の部位にも痛みをもたらす眼精疲労

――眼精疲労とはどのような状態を指すのでしょうか?
いわゆる目の疲れを通じて頭や肩など、目以外の部位にも凝りが出てくる症状です。パソコンやスマートフォンなど、近くに目のピントを合わせ続けることが原因で、目の奥が痛いと感じるケースがあります。毛様筋が緊張することによって筋肉がどんどん凝ってしまい、結果的に目以外の部位にも痛みを感じることがあります。
――眼精疲労になってしまったらどのような対策をすればいいですか?
まずは、目に負担がかかりにくい環境を整えることが重要です。パソコンの使用時であれば、なるべく椅子を高くして、目線を下へ向けるようにしましょう。目線が上に向くと、瞬きがしにくくなるからです。目線を下にすることで瞬きがしやすくなるので、パソコンを使用するときなどは意識しましょう。
あとは、画面の明るさも調節が必要です。画面を少し明るくして、文字を大きくすることで見やすくなり、目への負担が軽減できます。
また、空調がある場合は風向きを変えて、風が直接当たらないようにしましょう。
――眼精疲労はどうすれば予防できますか?
ドライアイ用の目薬を使用するなどして、なるべく目に潤いを与えるのが効果的です。パソコンやスマートフォンを使用する際は、適度に休憩をはさみ、遠くを眺めるようにしてください。
若い方にも多い夕方老眼の症状
――「夕方老眼」という言葉を聞くことがありますが、どのような症状を指すのでしょうか?
長い時間パソコンやスマートフォンに集中し続けることで目が疲れてしまい、本来は老眼になるような年齢ではなくても、夕方になると近くが見えにくくなる症状です。日中は見えていたとしても、目の疲れがたまり夕方になってから症状が現れることから、そのような呼び方をされています。
――夕方老眼の場合、実際に視力自体は悪化しているのでしょうか?
近視の症状が出ているという意味では、悪化していると考えられます。老眼はある日突然症状が出るわけではなく、20歳ぐらいから少しずつ進んでいきます。
――対策はどのようにしたら良いのでしょうか?
一番の対策は、パソコンやスマートフォンを眺める時間を減らすことです。とはいえ、現代社会において、仕事でパソコンやスマートフォンを長時間使わなければならない方もいることでしょう。その場合は休憩をはさみ、目を休めていただく時間をつくることが大事です。
お子様からお年寄りの方まで幅広く対応する地域医療

――つかもと眼科クリニックの特徴を教えてください。
地域密着型の眼科クリニックを意識しており、地域医療に力を入れています。また、隣が内科なので、目以外においても診察できることが1つの強みです。
私自身、つかもと眼科クリニックでの診療だけでなく、近隣の学校医をしています。夏になるとお子様が「プールにはいってきた」とか「給食で何を食べた」など、話をしてくれることもあります。このような日常的な会話も、診療をするうえで大事にしている部分です。
日頃から、地域の方とのつながりを大切にしているため、どのようなことでも相談していただけるように意識しています。
――先生の専門領域を教えてください。
小児眼科を専門としており、緑内障の検査や治療などはこれまでに数多く行ってきました。一方で、来院される方は、生後間もないお子様からお年寄りの方まで幅広くいらっしゃいます。ですので、どなたでも気軽に来院いただければと思います。
――来院を検討している方に対してメッセージをお願いします。

目に関することでお困りことがあれば、お気軽にご相談いただきたいです。まずは、話をお聞きして、原因を見つけたうえで病気の治療につなげられたらと考えています。
(取材後記)
――日常的な会話を大事にされているとのとおり、塚本先生はインタビューの合間も冗談を交えながら、場の雰囲気を明るくしてくださいました。患者様相手にも配慮しながら診療を行い、地元の方々から信頼を得られているのだろうと感じました。
(取材:メディコレ編集部)
提供:クーパービジョン・ジャパン株式会社
