高い費用を払ってまで受けるべきか、健康診断との違いに迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ブライダルチェックのメリットやデメリット、男女別の検査項目、適切なタイミング、費用相場について詳しく解説します。
助成金の活用法や不妊検査との違いを知ることで、自分たちに必要な選択ができ、妊娠や妊活に向けた前向きな将来設計を描けるようになります。
この記事の監修者
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久慈 直昭
Noah ART Clinic武蔵小杉 統括医師
Noah ART Clinic武蔵小杉 統括医師
(医学博士/東京医科大学客員教授)
経歴
1982年 慶應義塾大学医学部卒
1987年 米国オクラホマ・ネブラスカ大学留学
2001年 慶應義塾大学医学部産婦人科学専任講師
2014年- 東京医科大学産婦人科学教授
2023年3月
2023年4月 ノア・ウィメンズクリニック統括医師
2023年5月 Noah ART Clinic武蔵小杉 統括医師/医学博士/東京医科大学客員教授
所属学会
日本産科婦人科学会、日本生殖医学会等
資格
日本生殖医学会認定生殖医療専門医・指導医
日本胚培養士学会認定管理胚培養士
臨床遺伝専門医制度委員会認定臨床遺伝専門医
麻酔科標榜医
日本専門医機構認定産婦人科専門医クリニック公式HP(Noah ART Clinic武蔵小杉): https://noah-art.jp/
不妊教室(妊活セミナー)の案内はこちら: https://noah-art.jp/seminar/
ブライダルチェックとは?受ける必要はない?

最近よく「ブライダルチェック」という単語を目にするようになってきたのですが、一体どんなものなんでしょうか? 受診は必須ではないようですが、受ける必要はあるんでしょうか。

健康に自信がある方でも、将来の妊娠に向けた体の状態を知るために受ける意味は大きいです。ご自身の状況に合わせて、受診を検討する際の判断基準を詳しく見ていきましょう。
ブライダルチェックの本来の目的とわかること
ブライダルチェックの最大の目的は、将来の妊娠や出産に向けて、男女の生殖機能に問題がないかを確認することです。
一般的な健康診断では見落とされがちな、ホルモン値や子宮・卵巣の状態、精子の健康状態などを専門的に調べます。
さらに、風疹抗体の有無や性感染症など、母子感染のリスクとなる要因も事前に把握できます。
隠れた疾患を早期発見できれば、余裕を持って治療に取り組むことが可能です。「自分は健康だから大丈夫」と思っていても、自覚症状のないトラブルが隠れているケースは少なくありません。
ご自身の体の現状を正しく理解し、安心して将来のライフプランを立てるためにも、医療機関でのチェックは非常に有益な選択となります。
将来の妊娠に不安があるなら受診を検討する価値がある
結婚や年齢の節目を迎え、将来的に子どもを持ちたいという希望がある場合、ブライダルチェックは大きな安心材料となります。
年齢とともに妊娠のしやすさは変化するため、現在の状態を医学的な視点で把握しておくことは非常に重要です。
特に、生理不順や重い生理痛に悩んでいる方、あるいは過去の病歴に不安がある方は、早めに専門医へ相談することで不安を和らげることができます。
専門的な検査を通じて、妊娠を遠ざける要因がないかを確かめられます。早い段階で医療機関を受診し、医師のアドバイスを受けることで、適切な対策を打つことが可能です。
漠然とした不安を抱え続けるよりも、一度専門医に相談して明確な指針を得ることをおすすめします。
ブライダルチェックと健康診断や不妊検査との違い

なるほど、将来子どもを望むのであれば、予めブライダルチェックを受けた方が安心なようですね。しかし、これは健康診断や不妊検査は何が違うのでしょう?

目的や検査する項目が明確に異なります。それぞれの検査が持つ役割や特徴について、具体的にどのように違うのかを詳しく解説します。
ブライダルチェックと一般的な健康診断の違い
会社の定期健診などで行われる一般的な健康診断は、生活習慣病の予防や全身の基本的な健康状態を確認することが主な目的です。そのため、血圧やコレステロール値、肝機能などの数値は分かりますが、妊娠に関わる生殖機能の項目は含まれていません。
一方のブライダルチェックは、妊娠や出産に直結する項目に特化したプレコンセプションケア(妊娠前ケア)の一環です。
女性ホルモンの数値や精液の質など、健康診断ではカバーしきれない領域を専門的に調べます。
そのため、毎年健康診断で「異常なし」という結果が出ていても、妊娠できる状態であるとは限りません。
将来の妊娠を見据えるのであれば、専門の医療機関で生殖機能に焦点を当てた検査を受けることが大切です。
ブライダルチェックと不妊検査の違い
ブライダルチェックと不妊検査は、検査を受けるタイミングや目的において明確な違いがあります。
ブライダルチェックは、まだ妊活を始めていない段階や結婚の前後など、将来の妊娠に備えて現在の体の状態をチェックするための予防的な健康診断と言えます。
一方で不妊検査は、一定期間妊活を続けているにもかかわらず、妊娠に至らないカップルが原因を探るために受けるものです。
不妊検査の場合、より踏み込んだ卵管造影検査などが含まれ、原因究明と治療を前提としています。
まずはブライダルチェックで基本的な項目を調べ、もし懸念点が見つかれば、そのまま不妊治療に詳しい医師のサポートを受けることも可能です。
スムーズなステップを踏むためにも、早期の受診が役立ちます。
ブライダルチェックを受ける4つのメリット

ズバリ、ブライダルチェックを受けるメリットは何ですか?

見えない異常の早期発見や、夫婦の意識を合わせられる点です。具体的な4つのメリットについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット①:妊娠に影響する病気や異常の早期発見ができる
ブライダルチェックを受ける最大のメリットは、妊娠に悪影響を及ぼす可能性のある病気や異常を早期発見できることです。
子宮筋腫や子宮内膜症、クラミジアなどの性感染症は、自覚症状がないまま進行していることが珍しくありません。
また、男性側でも精索静脈瘤や精子の運動率の低下など、ご自身では気づけないトラブルが潜んでいる場合があります。
上記のようなトラブルを放置したまま自己流の妊活を続けてしまうと、貴重な時間を失うことになりかねません。
早期に異常を発見できれば、症状が軽いうちに治療を始めることができます。
万が一のトラブルにもいち早く対応できるよう、医療機関で定期的にプロの目でチェックしてもらうことが安心に繋がります。
メリット②:妊活を始めるべき適切なタイミングがわかる
現在の生殖機能の状態を客観的に知ることで、妊活を始めるべき適切なタイミングを見極められるのも大きなメリットです。
検査によって卵巣の予備能であるAMH値などが分かれば、妊娠に残された時間の目安をある程度把握することができます。
「まだ若いから数年後でも大丈夫」と漠然と考えていても、検査結果によっては早めに妊活をスタートした方が良いケースもあります。
逆に、結果が良好であれば、仕事やプライベートの予定に合わせて計画的に妊娠の時期を調整しやすくなります。
年齢や体の状態は一人ひとり異なるため、インターネット上の情報だけでは正確に判断できません。
医師の専門的な診断を受けることで、ご夫婦にとって最適な妊活のスケジュールを立てる指針となります。
メリット③:男性も受診することで夫婦間の意識合わせができる
ブライダルチェックは女性だけのものではなく、男性も一緒に受けることが非常に重要です。
不妊の原因の約半数は男性側にあると言われており、お互いの体を理解し合うことは、将来の家族計画において欠かせないプロセスとなります。
男性が一緒に受診することで、「妊娠は二人で取り組むもの」という当事者意識が芽生えやすくなります。
結果を二人で共有し、専門医から直接説明を受けることで、今後の妊活に対する温度差を埋めることができるでしょう。
もし男性側が検査をためらっている場合は、「二人の将来に向けた健康診断」として誘ってみるのがおすすめです。夫婦揃って医療機関に足を運ぶことが、強い信頼関係を築く第一歩に繋がります。
メリット④:卵子凍結など前向きな将来設計を描く指標になる
ブライダルチェックの結果は、今すぐ妊娠を希望していなくても、前向きな将来設計を描くための重要な指標となります。
検査を通じてご自身の体の状態を知ることで、将来に向けた多様な選択肢を冷静に検討できるようになります。
たとえば、すぐに妊娠を望まないものの将来は子どもが欲しいという場合、卵子凍結という選択肢を視野に入れるきっかけになるかもしれません。
現在の卵巣の状況を専門医に評価してもらうことで、卵子凍結を行うべき適切な時期も判断しやすくなります。
ライフプランは年齢とともに変化していくものですが、体のタイムリミットを意識しながら計画を立てることは大切です。
早い段階で医師に相談し、専門的なアドバイスをもとに、後悔のない選択をしていきましょう。
男女別で見るブライダルチェックの主な検査項目

ブライダルチェックのメリットと目的についてよく分かりました! 具体的には男女それぞれどのような検査を受けるのでしょうか?

女性は子宮や卵巣の検査、男性は精液検査などが中心となります。男女別の具体的な検査項目について、詳しく確認していきましょう。
女性が受ける主な検査項目
女性向けのブライダルチェックでは、主に血液検査、超音波検査、内診が行われます。血液検査では、貧血の有無や女性ホルモンの値、風疹の抗体、さらには梅毒やHIVといった感染症のリスクを調べます。
超音波検査と内診では、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣の腫れなど、器質的な異常がないかを直接確認します。
また、オプションとして、卵巣に残された卵子の数の目安となるAMH検査や、子宮頸がん検診を追加できる医療機関も多いです。
お伝えした各種検査は、妊娠を妨げる要因がないかを総合的に評価するために欠かせない項目ばかりです。
不安な症状があれば、検査の際に医師へ直接相談し、ご自身の体質に合ったアドバイスをもらうと良いでしょう。
男性が受ける主な検査項目
男性向けのブライダルチェックにおいて、最も重要となるのが精液検査です。
採取した精液から、精子の数、運動率、正常な形態の割合などを顕微鏡で詳しく調べ、自然妊娠が可能な基準を満たしているかを確認します。加えて、血液検査や尿検査を通して、クラミジアや梅毒などの性感染症の有無、風疹の抗体価も確認します。
男性が感染症に罹患していると、パートナーの女性にうつしてしまい、妊娠に悪影響を及ぼす危険性があるため注意が必要です。
精液の状態は日々の体調やストレスによって変動するため、一度の検査結果だけで全てが決まるわけではありません。
結果に不安な点があれば、生殖医療の専門医に早めに相談し、適切な改善策を指導してもらいましょう。
ブライダルチェックの費用相場と金銭的負担を抑えるコツ
ちなみに……、ブライダルチェックの費用って高いんじゃないですか?

自費診療のため数万円かかりますが、負担を減らす制度もあります。費用相場と、助成金などを活用して金銭的負担を抑えるコツを解説します。
ブライダルチェックの一般的な費用相場
ブライダルチェックは病気の治療を目的としていないため、原則として健康保険が適用されない自由診療となります。
そのため、受診する医療機関や選択する検査項目の内容によって、費用の相場にはばらつきがあります。
一般的な目安として、女性の場合は基本的なプランで2万円から3万円程度、詳細なホルモン検査や感染症検査を追加すると3万円から5万円程度になることが多いです。
男性の場合は、精液検査と感染症検査のセットで1万5千円から3万円程度が相場とされています。
ペアで受診すると割引になるカップルプランを用意しているクリニックも存在します。検査費用に関する不安がある場合は、事前に医療機関のウェブサイトを確認するか、直接問い合わせて明確な料金を把握しておくと安心です。
自治体の助成金や補助金制度を活用して費用を抑える
近年は、少子化対策の一環として、将来の妊娠に向けた検査に対して助成金や補助金を交付する自治体が増えています。
ご自身の住んでいる市区町村の制度を活用すれば、金銭的な負担を大幅に抑えてブライダルチェックを受けることが可能です。
助成の対象となるのは、婚姻関係にある夫婦だけでなく、事実婚のカップルや、これから結婚を予定している方を対象としている自治体もあります。
補助される金額や対象となる検査項目、年齢制限などの条件は自治体によって異なるため、事前の情報収集が欠かせません。
費用面で受診をためらっている場合は、まずはお住まいの自治体の窓口やウェブサイトでプレコンセプションケアに関する助成制度を調べてみましょう。
制度をうまく活用して、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。
ブライダルチェック以外のチェック方法は?4つの代替案を紹介
どうしてもブライダルチェックを受けられない場合、他にできることはありますか?

もしどうしても受信が難しい場合、無料の健診や定期的な婦人科検診など、身近な代替案があります。一例として4つの対策を紹介します。
代替案①:自治体が実施する無料の健診やプレコンセプションケアを利用する
費用や時間の関係で本格的なブライダルチェックを受けるのが難しい場合は、自治体が実施している無料の健康診査やプレコンセプションケア事業を活用するのが賢明な方法です。
多くの自治体では、特定の年齢に達した住民に対して、無料で受けられる健康診断のチケットを配布しています。
また、若い世代向けに妊娠前の健康管理をサポートする無料の相談窓口や、基本的な血液検査を低価格で提供している地域もあります。
ご紹介した行政のサービスを利用することで、最低限の健康状態をチェックすることが可能です。
まずは、お住まいの自治体の保健センターや公式ウェブサイトを確認し、利用できる制度がないか調べてみましょう。行政の制度を入り口として、必要に応じて医療機関への受診を検討するのがおすすめです。
代替案②:定期的な婦人科検診で最低限の子宮や卵巣の状態を確認する
ブライダルチェックのフルコースを受けない場合でも、定期的な婦人科検診だけは受けておくことを強く推奨します。
自治体や職場の補助を利用して子宮頸がん検診を受ける際に、合わせて超音波検査を依頼できるクリニックも多数あります。
超音波検査を行うことで、子宮筋腫や卵巣のう腫といった、妊娠の妨げになり得る器質的な異常を比較的簡単に確認することができます。
定期的に婦人科へ通う習慣をつけておけば、生理のトラブルなど些細な変化にも気づきやすくなります。
「婦人科はハードルが高い」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご自身の体を守るためにかかりつけ医を持つことは非常に大切です。
まずは気軽な検診から始めて、信頼できる医師を見つけておきましょう。
代替案③:妊娠に影響を及ぼす性感染症の検査だけは受けておく
将来の妊娠を考える上で、性感染症の検査だけは優先的に受けておくべき重要な項目です。
特にクラミジア感染症は、男女ともに自覚症状がないまま進行することが多く、放置すると女性の卵管が詰まったり、男性の精子の通り道に炎症を起こしたりして、不妊の大きな原因となります。
また、妊娠中に梅毒などの感染症にかかっていると、お腹の赤ちゃんに重大な影響を及ぼす危険性があります。
お伝えしたような性感染症は、血液検査や尿検査、簡単な拭い液の検査で比較的すぐに判明します。
保健所などでは、匿名かつ無料でHIVや梅毒、クラミジアの検査を実施していることも少なくありません。
ご自身と将来の家族の健康を守るためにも、性感染症のチェックだけは確実に済ませ、不安があれば直ちに医療機関を受診してください。
代替案④:基礎体温の計測や健康的な生活習慣で妊活の準備を始める
医療機関での検査以外にも、日常生活の中で妊活に向けた準備を始めることができます。その第一歩としておすすめなのが、基礎体温の計測です。
毎朝同じ時間に基礎体温を測って記録することで、排卵の有無や月経周期の乱れなど、ご自身のホルモンバランスの傾向を把握することができます。
また、健康的な生活習慣を整えることも立派なプレコンセプションケアです。栄養バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を取り入れ、十分な睡眠を確保することで、妊娠しやすい体づくりに繋がります。
ただし、自己管理だけでは限界があるのも事実です。
基礎体温のグラフに異常が見られたり、なかなか妊娠しなかったりする場合は、自己判断せずに、記録した基礎体温表を持参して速やかに専門医へ相談することが大切です。
自治体の助成金や補助金制度を活用して費用を抑える
近年は、少子化対策の一環として、将来の妊娠に向けた検査に対して助成金や補助金を交付する自治体が増えています。
ご自身の住んでいる市区町村の制度を活用すれば、金銭的な負担を大幅に抑えてブライダルチェックを受けることが可能です。
助成の対象となるのは、婚姻関係にある夫婦だけでなく、事実婚のカップルや、これから結婚を予定している方を対象としている自治体もあります。
補助される金額や対象となる検査項目、年齢制限などの条件は自治体によって異なるため、事前の情報収集が欠かせません。
費用面で受診をためらっている場合は、まずはお住まいの自治体の窓口やウェブサイトでプレコンセプションケアに関する助成制度を調べてみましょう。
制度をうまく活用して、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。
男性が受ける主な検査項目
男性向けのブライダルチェックにおいて、最も重要となるのが精液検査です。
採取した精液から、精子の数、運動率、正常な形態の割合などを顕微鏡で詳しく調べ、自然妊娠が可能な基準を満たしているかを確認します。加えて、血液検査や尿検査を通して、クラミジアや梅毒などの性感染症の有無、風疹の抗体価も確認します。
男性が感染症に罹患していると、パートナーの女性にうつしてしまい、妊娠に悪影響を及ぼす危険性があるため注意が必要です。
精液の状態は日々の体調やストレスによって変動するため、一度の検査結果だけで全てが決まるわけではありません。
結果に不安な点があれば、生殖医療の専門医に早めに相談し、適切な改善策を指導してもらいましょう。
(監修・執筆:久慈 直昭)
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