【医師監修】FUT法とFUE法は何が違うのか、後悔しない選び方を解説!

2026/06/11更新

FUT,FUE,サムネイル
自毛植毛の基本とは?FUT法とFUE法の仕組みを解説

自毛植毛は、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の髪の毛を薄い部分に移植する根本的な治療法として知られています。

ここでは、代表的な二つの手法の基本的な仕組みを解説します。

この記事の監修者

  • 中島 陽太

    中島 陽太

    紀尾井町クリニック 東京本院 院長

    【経歴】
    2010年に東邦大学医学部卒業、東邦大学医療センター大森病院に初期研修開始。2012年に同院泌尿器科に入局。2021年まで外科治療をメインに従事。2021年から現在所属する紀尾井町クリニックで勤務。

    【資格】
    NHT Medical Center 認定医、日本泌尿器科学会専門医・同指導医、国際毛髪外科学会(ISHRS)会員

    監修記事一覧を見る

FUT法とFUE法の違いは?



${入力箇所}

先生!自毛植毛のFUT法とFUE法の違いを教えてください!


中島 陽太

これらの違いは、「植毛に使う毛根を、どのように採ってくるか」という、採り方の違いです。簡単にいえば、FUT法は切り取った頭皮から切り分けた毛根を移植する施術で、FUE法はパンチで毛根を1株ずつくり抜いて採取し移植する施術です。


FUT法とは?メスで後頭部の頭皮を切り取る手法

FUT法は、ドナーストリップ法とも呼ばれ、後頭部の頭皮をメスで帯状に切り取る手法です。

切り取った頭皮から、専門の医療スタッフが拡大鏡を使用しながら健康な毛根を1株ずつ丁寧に切り分けます。 その後、薄毛が気になる部分に移植していくという手順を踏みます。

頭皮を切り取って縫合を行うため、後頭部に線状の傷跡が残るという特徴があります。(周囲の髪を伸ばせば隠す事は可能です) しかし、毛根の切断率を低く抑えることができるため、移植した髪の毛が定着する確率が高まりやすいという魅力があります。

生涯で5,000~7,000株の採取が可能なため、大量の髪の毛を移植したい場合や、広範囲の薄毛を改善したい方、進行するAGAへの対応も見据えている方などに適した治療法として選ばれることが多いです。 執刀する医師や医療スタッフの高度な技術が求められるため、実績のある医療機関を選ぶことが重要になります。


FUE法とは?パンチで毛根を1株ずつくり抜いて採取する手法

FUE法は、専用のパンチブレードと呼ばれる極細の医療器具を使用し、後頭部から毛根を1株ずつ直接くり抜いて採取する手法です。

メスを使用して頭皮を切り取らないため、線状の傷跡が残らないという大きな利点があります。

採取した部分は小さな点状の傷跡になりますが、周囲の髪の毛で隠しやすく、目立ちにくいという特徴を持っています。 また、術後の痛みが比較的少なく、身体への負担を軽減できるため、早期に日常生活へ復帰したい方から高い支持を集めています。 一方で、専用のパンチを用いて1株ずつ丁寧に採取するため、長時間の施術が必要になります。

生涯で2,000~3,000株とFUT法よりも採取量が限られる傾向があるため、比較的狭い範囲の薄毛治療に向いている治療法と言えます。



FUT,FUE違い視覚化

画像出典:紀尾井町クリニック

FUT法とFUE法の違いを5つのポイントで徹底比較


${入力箇所}

ありがとうございます!ちなみに効果や料金も違うのでしょうか?


中島 陽太

自毛植毛の二つの治療法には、特徴的な違いが存在します。どちらかが常に優れているという訳ではなく、ケースによって使い分ける事が重要となります。効果はもちろん、痛みや費用など5つのポイントを解説しますね。


比較1 術後の痛みとダウンタイムの期間

FUT法は頭皮をメスで切り取って縫合するため、麻酔が切れた後に皮膚が引っ張られるような違和感を感じる可能性があります。このつっぱり感は、術後数週間程度でなくなるのですが、このことを踏まえるとダウンタイムがFUE法に比べ長引く傾向にある、と言えます。

対するFUE法はメスを使用せず、専用の器具で小さな穴を開けて採取するため、術後の痛みや腫れを比較的抑えることができます。 直径1mm程度の小さな円形のくり抜き痕は、FUT法のように縫合はされませんが、多くの場合、数日程度で傷口が塞がる傾向があります。


比較2 後頭部に残る傷跡の目立ちやすさ

FUT法・FUE法のいずれも採取した傷跡が残ることは避けられません。

FUT法の場合は、横長の線状の傷痕が残ります。

髪の毛を短く刈り上げると傷跡が目立ってしまうため、ある程度の髪の長さ(2〜3センチ程度)を維持することで縫合部分が隠れるでしょう。

一方のFUE法では、毛根を採取した部分にミリ単位の小さな点状の傷跡が採取分だけ残ります。 傷が小さく分散しているため、髪の毛が少し伸びれば(1~2センチ程度)ほとんど見えなくなります。 ベリーショートなどの短いヘアスタイルを楽しみたい方にとっては、点状の傷跡で済む手法の方が安心感を得られます。

ただし、FUE法では採取した数だけ傷痕が残ります(1,000グラフト採取なら1,000個の傷痕)。ひとつひとつの傷痕は小さいとはいえ、大量の毛根を採取すると後頭部全体の髪の密度が薄く見える可能性があるため、医師と事前のカウンセリングで入念な打ち合わせを行うことが不可欠です。


比較3 移植した毛の生着率とドナーの生存率

生着率とは、移植した髪の毛が新しい場所で根付き、正常に成長し始める割合を指します。

FUT法は、頭皮を切り取った後に顕微鏡を見ながら手作業で丁寧に毛根を切り分けるため、採取の際に毛根を傷つけるリスクを最小限に抑えられます。 そのため、非常に高い生着率を期待できるという強みがあります。

FUE法は専用のパンチを用いて頭皮から直接くり抜くため、採取の角度や深さによっては毛根を切断してしまうリスクが伴います。 毛根が損傷すると定着せずに抜け落ちてしまったり、十分な太さで生えてこなかったりするため、生着率は担当する医師の技術力に大きく左右されます。


比較4 手術で採取できるグラフト数

自毛植毛では、1つの毛穴から生えている1本から数本の髪の毛をまとめた単位を「グラフト(株)」と呼びます。

FUT法は後頭部から側頭部にかけての広範囲から帯状に頭皮を切り取ってグラフトを採取するため、FUE法と比べてまとまった数のグラフトを確保しやすい方法です。広範囲の薄毛に対して、多くの株数を移植したい場合に適しています。

対するFUE法は、1グラフトずつ専用器具でくり抜くため、非常に手間と時間がかかります。 採取できるグラフト数には限りがあり、株数が多くなるほど手術時間やドナー部への負担も大きくなります。

また、ドナーエリアから採取できるグラフト数には限りがあります。目安として、生涯で採取できるドナー株数はFUT法で約5,000〜7,000株、FUE法で約2,000〜3,000株程度です。ただし、実際に採取できる株数は、毛髪の密度、頭皮の状態、薄毛の範囲などによって異なります。

広範囲の治療を行う場合は数回に分けて手術を受ける必要が出てくることもあります。ご自身の薄毛の進行度合いや将来的な変化も踏まえて、適切な治療計画を立てることが重要です。


比較5 施術にかかる費用と料金相場

FUT法は、医療スタッフがチーム体制で効率的に毛根を切り分けることができるため、手術時間を短縮できます。 そのため、比較的リーズナブルな価格設定となっているクリニックが多く、1グラフトあたりの料金相場は比較的低くなる傾向があります。

一方のFUE法は、1グラフトずつ専用の器機で採取していくため、グラフト数が多いと手術時間が長引く傾向があります。 結果として人件費や技術料、器機費用などが上乗せされ、1グラフトあたりの料金相場はFUT法に比べると高額になる傾向があります。

全体の費用は移植するグラフト数によって大きく変動するため、予算に上限がある場合は、事前の無料カウンセリングで植毛にかかる正確な見積もりを出してもらうことが不可欠です。



FUT,FUE別れ道

画像出典:紀尾井町クリニック

FUT法とFUE法のメリットとデメリットを整理


${入力箇所}

なるほど…色々と違いがあるんですね。どちらが良いのか迷っちゃいます。


中島 陽太

迷っちゃいますよね。上記の比較を踏まえ、それぞれの手法の優れた点と注意すべき点を簡潔にまとめてみましょう。 全体像を把握することで、より納得のいく選択ができると思いますよ。


FUT法のメリットとデメリット

FUT法の最大のメリットは、大量の健康な髪の毛を効率よく移植できる点にあります。

顕微鏡を使用して丁寧に毛根を切り分けるため、毛根の損傷を防ぎ、高い生着率を期待できるという魅力があります。比較的広い範囲に移植したい方に向いている手術法と言えます。 また、費用を比較的安く抑えることができるため、経済的な負担を軽くしたい方に向いています。

しかし、デメリットとして後頭部に線状の傷跡が残ることが挙げられます。 髪を短く刈り上げるヘアスタイルが難しくなるほか、頭皮を切り取って縫合するため、術後の痛みやつっぱり感が出やすくなります。


FUE法のメリットとデメリット

FUE法の大きなメリットは、メスを使用しないため後頭部に線状の目立つ傷跡が残らないことです。

小さな点状の傷跡で済むため、短髪にしても周囲に気付かれにくく、自然な仕上がりを楽しめます(但し、坊主などの極端な短髪にすると傷痕が目立つ可能性があります)。 さらに、術後の痛みや腫れが少なく、ダウンタイムが短いため、日常生活へ復帰しやすいという利便性があります。

一方でデメリットとしては、1株ずつ手作業で採取するため手術時間が長くなり、費用が高額になりやすい点が挙げられます。 また、生涯に採取できる髪の毛の量はFUT法に比べるとおよそ半分程度なため、広範囲の薄毛治療には適さない場合があります。

そして、ひとつひとつの傷痕は小さいのですが、採取した数だけ直径1mm程度の傷痕が増えるので、採取するほど採取部の密度が下がっていって、薄毛化のリスクが高まっていく点には注意が必要です。


2回目や3回目の植毛も見据えた長期的な治療戦略

AGAは進行性の症状であるため、一度の手術だけで完全に悩みが解消するとは限りません。

将来を見据えた計画的な治療を考えることが必要になります。

将来的なAGA進行に備えたドナーの温存方法

自毛植毛で移植できる後頭部・側頭部の髪の毛には限りがあり、生涯で採取できる量は限られています。

若いうちに広範囲へ大量に移植してしまうと、将来的に別の部位の薄毛が進行した際に、移植するための髪の毛が足りなくなる事態に陥る可能性があります。 上記のような後悔を防ぐためには、早期に限界まで採取するのではなく、必要最低限の量を計画的に移植することが重要です。

また、植毛手術と並行して、内服薬や外用薬などのAGA治療薬を継続的に使用することをおすすめします。 移植した毛髪と異なり、既存毛はAGAの影響を受けて薄毛が進行する可能性があります。そのため、薬によって進行を緩やかにすることは、移植毛だけでなく既存毛を維持するうえでも重要です。


FUT法とFUE法を効果的に組み合わせる方法も

将来的に複数回の手術を受ける可能性がある場合、治療法を組み合わせる順番が仕上がりに大きく影響します。

1回目、2回目の手術で大量の髪の毛を確保できるFUT法を選択し、広範囲の薄毛を改善し、数年が経過して別の部位の薄毛が気になり始めた際に、3回目としてFUE法を取り入れるという戦略もあります。 将来の進行リスクを踏まえ、経験豊富な専門医と念入りに治療計画を練ることが大切です。



${入力箇所}

先生!教えていただきありがとうございました!将来のことも考えて選択してみようと思います。


中島 陽太

はい。現状の進行度合いや将来的な計画など、一人一人状態は様々です。不安がある場合はクリニックで相談してみてくださいね。


まとめ:FUT法とFUE法の違いを理解して最適な自毛植毛を選ぼう

この記事では、医師監修のもと、FUT法とFUE法は何が違うのか、後悔しない選び方を解説してきました。

自毛植毛は、傷跡や痛み、費用の違いを正しく理解し、ご自身の症状に最適な手法を選ぶことが成功の鍵となります。

ダウンタイムやメリット・デメリットを比較し、エビデンスに基づく確かな実績を持つクリニックへ相談に行きましょう。 適切な治療を受けることで、コンプレックス解消の一助となれますと幸いです。


編集・監修記事一覧へ戻る

【医療機関の情報について】

  • 掲載している情報は、株式会社マイナビおよび株式会社ウェルネスが独自に収集したものです。正確な情報に努めておりますが、内容を完全に保証するものではありません。
  • 実際に検索された医療機関で受診を希望される場合は、必ず医療機関に確認していただくことをお勧めします。
  • 当サービスによって生じた損害について、株式会社マイナビ及び株式会社ウェルネスではその賠償の責任を一切負わないものとします。
  • 情報の誤りを発見された方は掲載情報の修正依頼フォームからご連絡をいただければ幸いです。