この記事の監修者
頻尿とは?1日の排尿回数の基準とセルフチェック方法

編集部
1日に何回トイレに行くと頻尿になるのでしょうか?

高田将吾先生
一般的には、日中の排尿回数が8回以上になると頻尿の可能性があると言われています。
ご自身の排尿状態を客観的に把握するために、まずは具体的な基準を知ることが大切です。
日中8回以上・夜間1回以上が頻尿の目安
頻尿を判断する際の一つの目安となるのが、日中および夜間の排尿回数です。成人の場合、日中の排尿回数が8回以上であれば、頻尿の疑いがあると考えられています。また、就寝中も尿意で目を覚まし、夜間に1回以上トイレに行く場合は夜間頻尿に該当する可能性があります。
もちろん、摂取した水分の量や発汗量によってトイレに行く回数は日々変動します。そのため、一時的に回数が増えただけであれば、すぐに心配する必要はありません。
しかし、毎日のように日中8回以上、あるいは夜間に何度もトイレに起きる状態が続く場合は注意が必要です。気になる症状が続く際には、一度医療機関への相談を検討していただくのが良いかもしれません。
回数だけでなく本人の「困り度」も重要な判断基準
排尿回数の基準はあくまで目安であり、最も重要なのはご本人がどれだけ日常生活で困っているかという点です。たとえ日中のトイレの回数が7回以下であったとしても、本人が「トイレが近くて困る」「仕事や家事に集中できない」と感じていれば、立派な頻尿の悩みと言えます。
逆に、回数が多くても全く気にならないという方もいらっしゃいます。医学的な基準の数字にとらわれすぎず、日常生活における支障の度合いに目を向けることが大切です。
「会議中に尿意が気になって仕事に集中できない」「外出先で常にトイレの場所を探してしまう」といった悩みが続く場合は、我慢せずに専門医に相談することで、快適な日常を取り戻すきっかけになります。
頻尿を引き起こす主な病気と男女による原因の違い

編集部
頻尿を引き起こす原因は、男性と女性で違うのでしょうか?

高田将吾先生
はい、体の構造の違いなどから、男女それぞれで発症しやすい病気に特徴があります。
具体的な病気の種類や、男女別の傾向について詳しく見ていきましょう。
【男性に多い原因】前立腺肥大症による尿道圧迫
画像出典:たかだウロクリニック
中高年男性の頻尿において、非常に多く見られる原因の一つが前立腺肥大症です。前立腺は男性にしか存在しない臓器であり、膀胱の下で尿道を取り囲むように位置しています。
加齢に伴って前立腺が肥大してくると、内側を通っている尿道が圧迫されてしまいます。尿道が狭くなることで、尿が出にくくなったり、膀胱に尿が残りやすくなったりします。結果として、すぐに尿意を感じて何度もトイレに行きたくなる状態を引き起こします。
「尿の勢いが弱くなった」「残尿感がある」といった自覚症状を伴うことが多いのも特徴です。上記のサインが見られる場合は、早めに医師の診察を受けることで、原因の把握や適切な対応につながる場合があります。
【女性に多い原因】急性膀胱炎や骨盤底筋の緩み
女性特有の体の構造が原因で起こりやすい排尿トラブルも存在します。女性は男性に比べて尿道が短いため、細菌が膀胱に侵入しやすく、急性膀胱炎を発症しやすい傾向があります。膀胱の粘膜が炎症を起こすと、膀胱が敏感になり、少しの尿でも強い尿意を感じるようになります。
また、妊娠や出産、加齢などが原因で、膀胱や子宮を支える骨盤底筋が緩むことも頻尿の要因です。骨盤底筋が衰えると、ふとした瞬間に尿が漏れてしまったり、トイレが近くなったりすることがあります。
急性膀胱炎の場合は排尿時の痛みや尿の濁りを伴うことが多いため、異常を感じたら放置せず、医療機関への相談を検討しましょう。
【男女共通の原因】急に強い尿意に襲われる過活動膀胱
画像出典:たかだウロクリニック
男女を問わず、幅広い年代で増加しているのが過活動膀胱という病気です。過活動膀胱とは、膀胱に尿が十分に溜まっていないにもかかわらず、膀胱の筋肉が勝手に収縮してしまう状態を指します。
代表的な症状として、急に我慢できないほどの強い尿意に襲われる「尿意切迫感」が挙げられます。急な尿意によりトイレに駆け込むことが増え、場合によっては間に合わずに漏らしてしまうことも少なくありません。
加齢による膀胱の機能低下や、脳や脊髄の神経のトラブルなどが原因となることもありますが、原因が特定できないケースも多くあります。生活の質を大きく低下させる要因となるため、心当たりのある方は一度専門医に相談することをおすすめします。
【全身疾患のサイン】糖尿病や腎臓病による多尿
頻尿は膀胱や前立腺の問題だけでなく、全身の病気が隠れているサインである可能性もゼロではありません。特に注意したいのが、糖尿病や腎臓病などの重篤な病気が原因となっているケースです。
糖尿病が進行すると、体内の余分な糖を尿として排出しようとする働きが強まり、尿の量自体が増える「多尿」の状態になります。尿量が増えることで、結果的にトイレに行く回数も増加します。また、腎臓の働きが低下した場合も、尿を濃縮する機能が落ちるため、薄い尿が大量に作られて多尿を引き起こします。
「喉が異常に渇く」「疲れやすい」といった別の症状を伴う場合は、内科的な疾患が疑われます。少しでも不安を感じたら、躊躇せずに医療機関への相談を検討しましょう。
病気以外の生活習慣やストレスからくる頻尿

編集部
特に病気がなくてもトイレが近くなることはありますか?

高田将吾先生
はい、日々の生活習慣や精神的なストレスが影響して頻尿を引き起こすケースも多く存在します。
日常のどのような行動や心理状態が排尿に影響するのか、詳しく解説します。
水分・アルコール・カフェインの過剰摂取
病気以外の原因として最も身近なのが、飲食による影響です。健康や美容のために良かれと思って大量の水分を摂取していると、当然ながら作られる尿の量が増え、トイレの回数も増加します。
また、コーヒーや緑茶などに含まれるカフェイン、そしてアルコールには強い利尿作用があります。カフェインやアルコールを日常的に多く摂取していると、膀胱が刺激されて尿意を感じやすくなります。特に就寝前にお酒やカフェインを含む飲み物を飲むと、夜間に何度も起きてしまう原因となりがちです。
まずはご自身が1日にどのくらいの水分やカフェインを摂っているかを見直すことが、セルフケアの第一歩です。無理のない範囲で飲み物の種類や量を変えるだけでも、症状の軽減につながる場合があります。
緊張や不安などストレスによる心因性頻尿
精神的なストレスや緊張感が引き金となる心因性頻尿も、働き盛りの世代を中心に多く見られます。会議の直前や、長時間の移動中など「今はトイレに行けない」という状況になると、かえって強い尿意を感じてしまうのが特徴です。
検査を行っても膀胱や尿道などに身体的な異常は見つかりません。自律神経の乱れや、過去にトイレを我慢して辛い思いをしたトラウマなどが複雑に絡み合って生じると言われています。就寝中や何かに夢中になっている時には尿意を感じないことが多いのも、心因性頻尿の顕著な傾向です。
精神的な負担が関係しているため、一人で悩みを抱え込まないことが大切です。専門医に相談することで、自身の状態や対処法について確認できます。
病院へ行くべき受診の目安と適切な診療科

編集部
頻尿で病院に行くタイミングと、何科を受診すべきか教えてください。

高田将吾先生
日常生活に支障が出た時が受診のサインです。基本的には泌尿器科への相談をおすすめします。
放置してはいけない危険な症状や、診療科の選び方について確認しておきましょう。
放置はNG!早めに受診を検討すべき危険な症状
頻尿の症状に加えて、以下のようなサインが見られる場合は、決して放置せずに早急に医療機関を受診してください。
第一に、排尿時の強い痛みや残尿感がある場合です。痛みや残尿感がある場合は急性膀胱炎などの感染症が疑われ、悪化すると腎盂腎炎などを引き起こす恐れがあります。第二に、尿に血が混じっている、または尿が白く濁っている状態です。血尿は膀胱がんや結石などの深刻な病気が隠れている可能性があるため、特に注意が必要です。
急激な体重減少や強い喉の渇きを伴う場合は、糖尿病などの全身疾患のサインかもしれません。「ただトイレが近いだけ」と自己判断せず、いつもと違う異変を感じたら迷わず医師の診察を受けるようにしてください。
受診すべきは「泌尿器科」?それとも内科?
排尿に関するトラブルで受診する場合、まずは泌尿器科で相談することが一般的です。
泌尿器科は尿の通り道である腎臓、尿管、膀胱、尿道、そもし近隣に泌尿器科がない場合や、糖尿病などの全身疾患の不安が強い場合は、かかりつけの内科に相談してみるのも一つの方法です。必要に応じて、適切な専門医を紹介してもらえます。して男性特有の前立腺などを専門的に診る診療科です。
「泌尿器科はハードルが高い」「恥ずかしい」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、専門的な知識と設備が整っているため、排尿トラブルの検査や診断に対応しています。最近ではプライバシーに配慮したクリニックも増えております。
もし近隣に泌尿器科がない場合や、糖尿病などの全身疾患の不安が強い場合は、かかりつけの内科に相談してみるのも一つの方法です。必要に応じて、適切な専門医を紹介してもらえます。
泌尿器科で行う一般的な検査内容と治療の流れ
画像出典:たかだウロクリニック
泌尿器科を初めて受診する際、どのような検査をされるのか不安に思う方も多いでしょう。一般的な検査の流れとしては、まず問診が行われます。いつ頃から症状があるのか、排尿の回数や痛みはないかなどを詳しく確認します。
続いて、尿中の白血球や糖、タンパクなどを調べる尿検査が基本となります。尿検査により、炎症や感染の有無を確認できます。必要に応じて超音波(エコー)検査を行い、膀胱や前立腺の大きさ、残尿の量などを痛みなく調べます。
治療は、過活動膀胱や前立腺肥大症であれば内服薬の処方が中心となります。生活習慣の改善指導を併行しながら、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療方針が立てられます。専門医のサポートを受けることで、医師と相談しながら治療方針を検討できます。
まとめ:頻尿は原因に応じた対応を検討しましょう

編集部
頻尿の悩みはどう解決すればよいですか?

高田将吾先生
原因に応じた対応を検討することが大切です。
本記事では頻尿とは?考えられる原因や受診の目安を解説しました。頻尿には過活動膀胱や前立腺肥大症、膀胱炎、多尿や心因性などの病気が潜む可能性もあります。気になる症状が続く場合は、泌尿器科への相談も選択肢の一つです。我慢せずに専門医を受診してみましょう。
